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Craft Design

暮らしを彩り、社会問題を解く
―現代×伝統が
 平凡な日常を美しくする―

工芸デザイン学科では、「大量生産では実現できない」人に寄り添うモノを生み出すために必要な技術や表現、デザインを深められる多彩な演習プログラムと、「大量消費では味わえない感動」を生むコトを成し遂げるために必要とされるコミュニケーション力やストーリー性、思考力を磨く実践的な学びを社会と連動して実施します。受け継がれてきた伝統的な手仕事と現代的なデジタルスキルやデザイン思考を融合した先にある魅力あるモノは、必然的に持続性や環境への親和性が高まり、これからの社会で最も重要とされるでしょう。 身に付けた力で生み出した唯一無二のあなたの工芸が、全ての人の人生を豊かにします。

Curriculum

授業紹介

東北が育んだ素材を中心に、実用性のある技術力とデザイン力を磨きます。また、個々の目標に向けた豊富な内容と選択肢も用意されており、現役クリエイターによる指導のもと、現代社会に向けた学びを深められます。

カリキュラム


1年次

造形と表現の基礎を育む

アイデア展開の論理的思考法や平面?立体双方の基礎造形力を身に付け、4 つの素材〈陶?金属?漆?テキスタイル〉から自身が専門とする素材を1 つ選択します。また、グラフィックデザインの基礎を学びます。

工芸素材基礎演習2
「住空間に配置されるもの」をテーマに、各素材の特性を理解しながらランプシェードやパーテーション、テーブルウエアを制作します。同時に現代の生活を捉えたデザイン基礎を身に付けます。

  〈 知識 〉 〈 技能 〉
前期 工芸デザイン入門
「工芸デザイン領域の紹介」


プロダクトデザイン入門
「プロダクトデザイン領域の紹介」
表現基礎?造形基礎演習
「アイデア発展の思考法」と「観察による造形」
後期 近代美術史
「近代における美術の動向」


工芸デザイン論
「産業革命以降の工芸?デザインの歴史」
工芸素材演習1?2
「工芸における素材の加工法」
「居住空間における工芸デザイン」
漆(木工)陶、金属、繊維の4素材の選択を行う


デザインコンピュータ演習1
「Illustrator / Photoshopを使用したグラフィックデザイン」

2年次

各領域で分野の基礎を学ぶ

自身の専門素材を加工する多様な技法を習得しながら、CAD やポートフォリオ作成を通して、デザインの思考法を深めます。また、4 つの分野から自身が専門とする分野を1 つ選択し、専門的な学びを深めます。

工芸素材基礎演習3
「体に触れるもの」をテーマに、素材の特性を生かしながら身体の構造や皮膚感覚に目を向け、衣服や鞄、ジュエリーなどを制作します。身に着け、装うことを意識し、表現的デザイン力を養います。

  〈 知識 〉 〈 技能 〉
前期 インテリアデザイン論
「インテリアデザインの基礎知識」


プロダクトデザイン入門
「プロダクトデザイン領域の紹介」
工芸素材基礎演習3?4
「ファッションと装飾をテーマに制作」


プロフェッショナルスキル1 ?東北工芸産業論
どちらかを選択
「高度な伝統技法」「地場産業の発展企画」
後期 応用人間工学
「人間に対する配慮の実践」


伝達方法論
「様々な伝達方法について」
工芸デザイン基礎演習1
商業コース、手仕事コースいずれかを選択
「ターゲットを意識したファッションアイテム」
「食に関するアイテム」


工芸デザイン基礎演習2
「インテリアに関するアイテム」
「居住空間におけるアイテム」


デザインコンピュータ演習2
「製図2D?3D CAD CGモデリングの基本」

3年次

分野での実践と地域産業との連携

専門素材の高度な加工法を学びながら、4つの分野における社会的実践力〈リサーチ?プレゼンテーション?ディスカッション〉を磨きます。また、地域と連携し、展覧会や販売会、商品開発、ワークショップを行います。

工芸デザイン応用演習1
地域施設と連携し、各分野の観点で施設の特徴や客層などを分析。それに基づくデザインとプレゼンテーションを経て作品を制作します。最終的に展示やクラフト市などさまざまな形式で発表します。

前期 工芸デザイン応用演習1?2
ファッション?ジュエリー/インテリア/クラフト/美術工芸の4分野で行う


プロフェッショナルスキル2?東北工芸産業論
どちらかを選択
「高度な伝統技法」「地場産業におけるデザイン提案」
後期 工芸デザイン応用演習3?4
「展示販売/展覧会の開催」「ブランド設立と販売」

4年次

専門を極める

各自の専門素材と分野における研究テーマを自ら設定し、リサーチや素材実験、検証、プレゼンテーションを重ねます。また、進路や将来性をも考慮し、実社会とつながりながら卒業制作へ向かいます。

卒業制作
各自がテーマを設定し、作品制作へ向き合います。これまで身に付けた素材を操る技術、市場や価値を見極める思考、デジタルの要素を織り交ぜ、自身の考える「良いモノ」の集大成へと向かいます。

前期 テーマ設定?調査?施策
ファッション?ジュエリー/インテリア/クラフト/美術工芸の4分野それぞれでテーマ設定を行い発表
後期 計画?本制作
ファッション?ジュエリー/インテリア/クラフト/美術工芸の4分野で研究制作

活動 Pick Up!


地域との連携

東北の工芸や地域産業の視察やデザイン提案、地域文化施設や商業施設おける展覧会の開催、コミュニティや市民に向けたワークショップの開催など、さまざまな形で地域と連携?連動しプロジェクトを実施します。

商品開発?販売

4 つの素材の特性と社会のニーズを掛け合わせ、さまざまな商品開発を行います。特に「Creema」との連携授業では、マーケティングからデザイン、販売まで行うことでモノづくりと実社会のつながりを深く捉えます。


デジタルファブリケーション

従来の工芸〈アナログ〉に加え、レーザーカットや3D プリントなどの〈デジタル〉を駆使。デザインから各ツールの操作、発注などを、グラフィックデザイナーやプロダクトデザイナーから本格的に学びます。

受託研究

山形市上下水道部から水道通水100周年記念モニュメント制作の依頼を受け、デザイン案プレゼンから制作までを行いました。普段の授業とは違い納期や予算も考慮しプランニングを行う必要がある実践的な取り組みです。


Career

進路

ファッションデザイナー?ジュエリーデザイナー

身体を土台とした造形、衣服や装飾品とその成り立ちについて学びます。自ら素材を加工することを大切にしながら、スローファッションを意識したデザイン力を養い、マーケティングによるビジネス感覚も身に付けることで、ブランドの方向性や流行に合わせて服や鞄、傘、ジュエリーなど、日々身に付ける様々なアイテムをデザインする仕事へとつながります。

インテリアデザイナー?テキスタイルデザイナー?CMFデザイナー

住空間におけるモノと演出について学びます。現代社会における様々な空間や環境を意識し、素材と色彩、暮らしの関係をデザインする力と、モノの構造を設計する力を養います。また、自ら制作まで行うことで高い技術力と表現力も身に付け、壁紙や家具、照明など、室内または屋内で扱われる様々なモノをデザインする仕事へとつながります。

生活工芸作家?職人

日々の暮らしに必要とされるテーブルウエアやカトラリーについて学びます。手を通して生み出すことによって込められる温もりを大切に、常に素材と対話し作り手のこだわりをさりげなく組み込む思考と感覚を養います。卒業後は全国の産地の工房や自身の工房にて、作り手の手間暇が人の心を包むような生活工芸品を制作する日々を送ります。

美術工芸作家?伝統工芸作家?ギャラリスト

高度な技術を用いる伝統工芸や、この世に一つしか存在しないオリジナリティあふれる作品を目指す美術工芸について学びます。〈故きを温ね新しきを知る〉ことを軸とし、先人が築いてきた伝統や文化、アートの文脈を紐解き、それらを受け継ぎながらも各自が考える素材と表現の限界を追求し、将来はギャラリーで個展等を開催する作家として活躍します。



Professor

教員紹介

藤田謙

Fujita Ken
教授/金工、ジュエリー

近年、生成AIの進化は目覚ましく、指示を出すだけで、実際に手を動かすことなくさまざまなものを生み出せるようになっています。非常に便利な技術で、私自身も活用しています。しかし、その利便性を本当に感じられるのは、「ものがどのように作られているのか」「どこに魅力があるのか」といった背景を理解しているからだと思います。

人間には五感があり、それらの感覚は実際に体験することで育まれていきます。工芸デザイン学科の大きな魅力は、漆や金属といった素材に直接触れ、「思ったより硬い」や「意外と柔らかい」などの実体験を伴った試行錯誤から、「ここに価値があるんだ」や「私はこれが得意」などの多くの気付きを学べる点にあります。そうした経験を通じて、物事の本質を見つめる力を養い、心のこもった豊かさを自らの手で丁寧に築いていくことこそが、自身と他者の幸せにつながるのではないでしょうか。

私たちと一緒に手を動かし、人間だからできることを目指していきましょう。

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